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【18禁】EllePrieR〜しあわせの欠片をさがして〜

レビュー

EllePrieR(エルプリエ)は俗に言う見えてる地雷。

――ドォォォォンッ!
菱「な、何だ!?」
まどか「研究棟のほうだったけど……」
と、音のした方向をよく見ると、『箱舟』の一部が壊れてるような……
一体、何が起きたんだ!?
まさか、オヤジの身に何か!?
警備ロボット「キンキュウケイホウハツレイ、タダチニヒナンシテクダサイ」
菱「おい、一体何があったんだよ?」
警備ロボット「ハコブネノイチブガ、カツドウヲカイシシマシタ、キンキュウタイヒ!」
菱「それって、どういう事だよ!?」
警備ロボット「タイヒ、タイヒ……!」
菱「答えろって、一体何が……」
――ドォオォォォォンッ!
菱「うわぁ……っ!?」
さらに、もう一度地鳴りのような音が響き渡る。
菱「あれは……み、ミネルヴァ!?」
ミネルヴァ「すまない、大丈夫か?」
菱「お、おう。大丈夫だけど……」
ミネルヴァ「むっ、君は……江戸川博士の息子か?」
菱「な、何で知ってるんだよ!?」
ミネルヴァ「私はこの街の事ならなんでも知っている。それより、早く避難したまえ」
菱「待ってくれよ、中はどうなってるんだよ?」
ミネルヴァ「警備システムの一部が活動し始めた、非常に危険な状態だ」
菱「ど、どういう事だよ?」
ミネルヴァ「最悪、宇宙船の一部が倒壊するかもしれない」
菱「ちょっと待てよ、それじゃオヤジは!」
ミネルヴァ「今、中で交戦状態にあるはずだ」
菱「なんだってっ!」
ミネルヴァ「大丈夫、私に任せてほしい。必ず君の父上を助けてみせる」
ミネルヴァ「とにかく、ここは危ない、少し離れていたまえ」
菱「待てよっ、だったら俺も行くっ!」
ミネルヴァ「研究棟の外も安全とは限らない……早く離れたまえ」
菱「でも、オヤジがヤバイんだろ! 俺だって、何かの助けになるかもしれないじゃないか!」
ミネルヴァ「やめたまえ、危険だ!」
菱「危険でもなんでも、オヤジがピンチなのに黙ってられるかって!」
elleprier01.jpg
ミネルヴァ「私ですら生きて帰れるかどうか判らないんだ、君が来ても足手まといになるだけだ
菱「う……っ」
ミネルヴァ「とにかくすぐに逃げたまえ、いいな?」
――キュィィィンッ
言うが早いか、そのままミネルヴァが『箱舟』の中に突入していく。
……確かにミネルヴァの言う通りだ。あの中は危険なんだろう。
研究棟の一部に穴が開くくらいだ。そんな中に入っていくなんて、自殺行為かもしれない。
けど……だからって黙って通りすぎるなんて、俺には出来ない。
オフクロの時も、俺は何もできなかった。
今回も、何も出来ないなんて……嫌だ。
だから……
まどか「菱くん、行くつもり……なの?」
菱「……ああ」
まどか「危険だよ、あの中は……あのミネルヴァですら、死ぬかもしれないって言ってた」
菱「ゴメン、まどかさん。俺さ、オヤジがヤバイのに大人しくしてられるほど、聞き分けよくないんだ」
まどか「そっか、わかった……じゃあ、止めない」
菱「サンキュ、まどかさん! じゃあ……」
まどか「でも、条件がある!」
菱「条件……って?」
まどか「……私も行く」
菱「え……!?」
elleprier02.jpg
まどか「私も行く。菱くんが1人で危ないことして、黙ってるなんて嫌だもの」
菱「ちょ、ちょっとまどかさん、それは……」
まどか「どうして? 江戸川博士は、私にとっても大切な人よ」
菱「でも……」
まどか「だいたい、危険だって言うなら、菱くんだって同じ」
まどか「菱くんがあの中で危ない目にあってるのに、1人で逃げたりなんて出来ないわ」
菱「まどかさん……」
まどか「菱くんが危険なら、私だけ1人で逃げるなんて……嫌」
真剣なまなざし。ときどき出る、頑固なまどかさんの表情。
これが出ると、絶対に引かないのは俺が一番よく知ってる。
だから……
菱「……まどかさんがそういう顔すると、断れないんだよな」
まどか「菱くん……」
菱「わかった。行こう……多分、この調子なら混乱に乗じて中に入れるはずだから」
まどか「……うん」
菱「やっぱり」
研究棟の一部が、見事に破壊されている。
ここから、中に侵入出来そうだ。
菱「行こう、まどかさん」
まどか「う、うん……わかった」
まどかさんの戸惑いが手に取るようにわかる。
いや、むしろ戸惑ってるのは俺のほうかもしれない。
菱「……なんか、ヤバイ感じがする」
外からでも、ビリビリと漂ってくる緊張感……
圧倒されるような嫌な空気……
体中から、危険信号が出されてる……けど、ここでケツ巻いて逃げるわけにはいかない。
菱「これ、使えそうだな」
破壊された建材から、ちょうどいい長さの鉄パイプを一本手に取って、何度か素振りをする。
未知の生物でも相手にするならともかく、機械相手ならコイツが少しは使えるだろう。
そして、意を決して、『箱舟』の中へと侵入していく……

エド「いかん、こうなったら奥の手だっ!」
elleprier03.jpg
エド「江戸川、アイビィィィィィィィィィイムッ!」
オヤジが叫ぶと、オヤジのグラサンが一瞬まばゆく光った。
――ドォォォンッ!
激しい爆発、そして……
――ギャォァアァァァァ!
光線のようなものは、見事に自動機械に命中して、そのボディの一部を破壊していた。
さらに壁面の一部が崩れて、自動機械がたちまち埋もれていく。
これって、あの……研究棟で爆発を起こしてたヤツか!
エド「こんな事もあろうかと……というヤツだ」

と、出口とおぼしき方向に、足を向けた瞬間……
――ドカァァァァンッ!
菱「うわぁっ!」
まどか「きゃぁぁぁぁっ!」
くそっ、こんなところまで追って来やがった!
いくら少し休んだとはいえ、体力ももう限界……
相手もさっきのオヤジの一撃で手負いとはいえ、とても一人で倒せるとは思えない。
どうすればいいんだ……どうすれば……
まどか「菱くんっ!」
菱「まどかさんっ!」
金属で出来た爪が、まどかさんに襲いかかろうとしている。
まどか「きゃ……っ!」
咄嗟に、まどかさんの身体を突き飛ばして、位置を入れ替える。
――ザクッ!
菱「ぐぁっ!」
しまった……っ、爪が、さっきと同じ位置に……
息が出来ないくらい痛い。けど……
菱「お前……みたいなのに……」
菱「こんな機械なんかに……」
菱「まどかさんを、やられてたまるかっ!」
最後の力を振り絞って、相手のボディを押す。
原始的で、何も出来ない俺の、最後の抵抗だった。
これでも、足止めくらいになれば……逃げてくれ、まどかさん……っ!
菱「うらぁぁぁぁぁっ!」
力を込めると、不意に、足下がすっと軽くなり、身体は空中に投げ出されたように感じた。
な……違う、これは……
菱「うわ……っ!」
足下の壁が崩れた……と気付いた時にはもう遅かった。
俺も、機械の化け物も……見事に中空に投げ出されていた。
まどか「だめ、菱くんっ!」
菱「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
――ドォォォォォォォンッ!
菱「ぐぁ……あっ!」
一度、地面にしたたかに打ち付けられる。そして、さらに……
菱「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!」
瓦礫状になった『箱舟』の破片が、頭の上から落ちてくる。
まどか「菱く〜〜〜〜〜〜んっ!」
まどか、さん……っ!?
菱「ぐふ……ぁっ!?」
ただでさえ強い痛みに、さらに追い打ちをかけるように、身体が、何か重いものに押しつぶされる。
瓦礫の重さ……
息が出来ない……
痛ぇ……っ、めちゃめちゃ……痛い……っ。
身体の上に、なんだか温かい感触……血か?
なんだよ……こんなの、しまらねぇ……なぁ……っ……
エド「しっかりしろ、マイサンッ! まどかさんっ!」
遠くから、声が聞こえる……
クソオヤジ……声が響いて、頭が痛い。
菱「おや、じ……?」
ミネルヴァ「博士、このままでは……」
エド「研究棟のほうに運んでくれ、あそこなら、最新の医療設備もある!」
ヤバイ……もう、ダメだ……
気が遠くなる。
くそっ……俺は……
まどかさんを……
守らなくちゃ……いけないのに……っ
にも……関わらず……
うまく……からだ……が……うごかない……
起きろよ、俺の身体……
おき……ろ……
お……き……
……っ

地球外の高度技術で作られた『箱舟』の警備システム相手に鉄パイプ一本でどうやって立ち向かうつもりなのか。 『箱舟』の技術を応用して作られたパワードスーツでも「生きて帰れるかどうか判らない」のである。 救出対象の父親も反則臭い技術で武装しているのに、それより遥かに威力の劣る鉄パイプ一本では何の役にも立つまい。 「君が来ても足手まといになるだけ」とハッキリ言われているのに、どうしてそんな簡単なことが分からないのか。 父親を助けたいと思うなら、少しでも父親の生還確率を上げることをことをしなければならない。 しかし、主人公のやっていることは、足手まといとなって父親の生還確率を下げる行動でしかない。 本気で父親を助けたいと思うなら、生還確率を下げる行動は絶対にやってはいけない。

同じ無謀でも、意味のある無謀と意味のない無謀がある。 主人公の行動は全く意味のない無謀である。 フィクションにおいては、意味のある無謀は時として美談になり得る。 とくに、漢(と書いて「オトコ」と読む)らしい行動の演出には、意味のある無謀は欠かせない。 しかし、意味のない無謀では笑い話にもならない。 たとえば、父親の研究室からハイテク兵器を盗むなど、『箱舟』の警備システムに対抗出来る手段を用意して救援に駆けつけるなら、意味のある無謀だろう。 しかし、途中で偶然拾った鉄パイプ一本で武装しただけでは、全く意味のない無謀である。

意味のある無謀
命を賭けて愛する者を守る、というような、無謀と引き換えに得るメリットのあるもの
意味のない無謀
命を賭けてやってることは他人を余計に危険に晒しているだけ、というような、無謀と引き換えに得るメリットがないもの

こうした主人公の無謀な行動に対して、なんと、恋人がさらに無意味で無謀な行動に出る。 本来ならば、教師である年上の恋人は、如何に主人公の行動が無謀かを諭すべきであろう。 危険だから止めろと諭せとは言わないが、無闇に父親の生還確率を下げるなとは諭すべきだろう。 それなのに、主人公が父親の生還確率を下げたように、恋人までもが主人公の生還確率を下げている。

ここまで行動基準が無茶苦茶だと、プレイヤーは置いてけぼりをくらい、全くついていけない。 そのせいで全く物語に感情移入出来ない。 行動基準が滅茶苦茶なのは、こいつらだけではない。 設定ではやり手となっている市長も、こいつら同様、滅茶苦茶な行動基準に従っている。 このシナリオを書いた人は致命的に才能がない

Last modified:2019/05/02 18:30:35
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