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ゲーム製作における上手なクラウドファンディングを考える

総括

あっぷりけのクラウドファンディングの募集が終了した。 まだ、入金処理が残っているが、10月8日時点での未入金を入れた総額は3,978万円、総人数は1,397人である。 この結果が示すことは、次のとおりである。

  • クロスコンチェルト(Cross Concerto)がフルプライス+αの内容で出せる
  • ブランド再建は未知数
  • これが通用するのは今回限りであり、業界にとっての対策とはならない

以下で詳細に説明するとおり、3つの観点何れで見ても、成功と呼ぶには微妙…以上の結果は残せなかった。 ここでは、そうなった原因を考察する。 持続可能なクラウドファンディング代替案も提案する。

一作分のゲームが出せること

フルプライスのゲームにかかるコストは約3千万円とされるが、これは1万本弱販売してようやく元が取れるそうである。 だから、通常は、たかが、千人強ではコストを回収することはできない。 にも関わらず、一作分のコストが回収できたのは、一部の高額コースを支援したユーザーのおかげである。

また、高額コースは大金持ちがあり余ったポケットマネーからポンと出資するもの、と多くの人は思っていたのではないか。 しかし、今回はそうではなかった。 尚、あまり個人のプライバシーに踏み込むことは好ましくないし、高額支援者もこの方だけではないが、状況を分かってない人がいるようなので、以下は公開された情報を元に推測している。

言い忘れてましたがあっぷりけCFのPコース2個目は9/11月曜日に入金します。額が額なので そっくり入るのは火曜日以降になります。

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/906145984937287680


あっぷりけCF振込完了しました!二度目でもガンダムXのジャミルニートばりに手の震えが止まらなかったのですが、榛名は大丈夫です。

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/907039683951042560


残念ながら実際には石油王でもなく、単なるサラリー貰ってる小市民の私にはここが限度で

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/907212639356329984


オーストラリア帰り、回らないお寿司、車二台持ちとかいうパワーワードが揃う旧友の集い。数年前には思いもよらなかった。

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/906487737678651393


旧友共に更に子持ち2人とかいうパワーワードが着いた。羨ましい限りです。

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/906498124696322048

このケースでは、小金持ちが貯金を切り崩して支援したことが明らかである。 この方が支援した688万円は、この方の結婚、子育て、老後に重大な影響を影響を与えるかもしれない。

「いや、本人は『まともな生活』ができそうと言ってるじゃないか」と言う人がいるかもしれない。

あっぷりけCFの実入金状況的に最悪のケースでもまともな生活ができそうなので、

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/907931411331481604

しかし、この「まともな生活」の定義が何なのか良く考えて欲しい。 貯金を取り崩して支援している限り、将来設計を含まない範囲での「まともな生活」には影響を与えないだろう。 しかし、ご本人の言う通り「単なるサラリー貰ってる小市民」であるなら、688万円も出せば、確実に、将来の結婚、子育て、老後に影響を与えることは言うまでもない。 よって、この「まともな生活」に将来の結婚、子育て、老後が含まれていないことは明らかであろう。

お互いお前バカだろと言える仲は素晴らしいものです。

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/916968844031287296

「お前バカだろ」が今回の高額支援を指してのことと思われる。 自身の将来設計に影響しない範囲での支援であれば、「バカ」という表現にはなり得ない。 この言葉からも、自身の将来設計に影響を及ぼしかねない支援をしたことが窺われる。

では、ご自分の将来のための貯金を取り崩してまで支援したのは何故か? 「サラリー貰ってる小市民」が、同じブランドの購入者というだけで、とくに金に困っているわけでもない、見ず知らずの人間に、ポンと大金を寄付するか考えてみれば良い。 常識で考えれば、恵まれない人のために、貯金を切り崩して寄付する人はいるだろう。 また、ブランドの存続のために、そこまでする人がいるかもしれない。 しかし、ゲームを買える程度に裕福な人たちに対して、「サラリー貰ってる小市民」が大金を寄付するわけがない。 であれば、当然、この支援があったのは、ブランドの存続危機がアナウンスされていたからに他ならない。 ただ、単に、一作分のゲームを出すかどうかだけでは、ここまでの支援をしたとは考えにくい。 次も、そのことを裏付けている。

まだ第一段階の勝利ではありますが、ようやくこれで自分の中で一区切りできました。

https://twitter.com/app_cf_MrJ/status/916968844031287296

10月8日段階での発言なので「第一段階」が3,822万円の入金を指していることが疑う余地がない。 これを「勝利」と評価することが妥当かどうかは後で述べるとして、「第一段階」があり、それを「まだ」と表現していることから、最終段階があることは明らかだろう。 その最終段階はブランド再生か、あるいは、それ以上のこと(まさか、業界再生?)を指すかは、公開された情報からは定かではない*1。 何にせよ、この方の目的は最終段階にあるのであり、最終段階に至る道筋と捉えているからこそ、最終段階に繋がる可能性が見えたと判断して、「第一段階」を「勝利」と評価しているのである。 最終段階に繋がることなく、一作分のゲームを出すためだけに使い潰して終わるのであれば、この方は、「第一段階」を「勝利」と評価しただろうか。

もちろん、最終段階に繋がらない可能性について支援者が了承していたと推定することはあながち間違いとはいえない。 しかし、ここでの話は、手続きの瑕疵の話でも、その責任に関する話でもなく、物事の実態を明らかにしているだけにすぎない。 だから、論点は、事象の発生可能性を了承していたかどうかではなく、事象が意に沿っているかどうかである。 そして、事象の発生可能性を支援者が了承していたことは、その事象が支援者の意に沿っていることを意味しない。 さらに、その事象が支援者の意に沿っていないことは既に説明した通りである。

以上の通り、最終段階へ全く繋がることのない、たった一作分のゲームを出すだけのために使われるのであれば、それは高額支援者の意に反している。 これは、一部の一般人の将来のための貯金を支援者の意に反して大勢のユーザーが毟り取るも同然の構図であり、このことを成功と呼ぶ人がいたら、その人の人間性を疑わざるを得ない。 関係者の金をユーザーが毟り取るなら、経営責任を取っただけであろう。 しかし、一般人には他のユーザーからお金を毟り取られる言われはない。

以上、まとめると、ゲームが一作分出せる事実に関しては、次のいずれかを満足する場合に限って、成功と呼べる。

  • 高額支援(最終段階を目的としたものに限る)を使い潰さない
  • 最終段階へ繋がる

今回は、前者を満足しないことは明らかであるので、後者を満足しない限り成功とは呼べない。 もちろん、一人で688万円支援された方は、後者を満足すると判断して、「勝利」と評価したのであろう。 その判断が妥当かどうかは後で詳しく述べる。

ブランド再建

クラウドファンディングで達成することができた場合、 資金は新作の制作のみに使用させていただきます

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■一般発売の収益について

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完成して一般発売した際には返済を終えている計画を立てておりますが、 万が一返済が出来ていない場合は、一般発売分の純粋な利益につきましては 返済や運営にあてさせていただきます


支援金につきましては、 すべてゲーム制作費及びリターンの費用に使用させていただきます。

1500万で目標金額達成となり、ゲーム制作が決定いたしますが、目標金額以上の 支援をいただいた場合、ゲームボリュームのアップに使用いたします。

ゲームボリュームの最大額は3000万とさせていただきまして、 それ以上に関しましては製品お持ちの方が楽しめるアペンド配信及び販促費用に 使用させていただきます

これらからは次のように読み取れる。

  • 支援金は負債返済に充てない
  • 「一般発売分の純粋な利益」は負債返済に充てる

その他のあらゆる公式情報が、支援金は負債返済に充てないことを明言してしまっている。 この約束が守られるならば、たとえ、支援金が1億円集まろうとも負債返済には1円も使われることがないはずである。 つまり、どれだけの金額が集まっていようが、負債軽減には至らず、直接的にはブランド再建につながらない。

しかも、集まった金額の割に、支援者の述べ人数が非常に少ない。 純粋な支援はせいぜい500超であり、支援の意思はないと考えられる加速後の人数を含めてもわずか1,300超である。 1万本弱売れてようやくトントンという開発費の実情から見れば非常に少ない。 この延べ人数は、一部のファンにしか知られておらず、話題性が著しく欠けていたことを物語っている。

では、「一般発売分の純粋な利益」は期待できるのか。

基本的にはリターンをお届けしてから一般販売を別途検討して進める予定ですので、 現状ではパッケージ版の仕様は未定になりますが、 少なくともリターンの内容より豪華になるようなことは避けたいと思います。

「リターンをお届けしてから一般販売を別途検討して進める」のであれば、リターン分の発送から一般販売にはかなりの期間が空いてしまう。 また、中古等による「後日」の販売数量への影響がどの程度かも前例がないからハッキリしない。 1,300以上のリターンが出回ることを考えれば、このうちの相当数が中古に出回ると予想される。 とくに、加速分の800以上は、早期予約と同様の感覚で購入していると思われるので、ブランド支援のために中古販売を控えることは期待できない。 遅延日数も不明で、遅延日数あたりの影響も不明なのでは、どれだけ売れるのかはわからない。 最悪はほとんど売れないこともありうる。

「クラウドファンディングで4,000万円集めた」という事実は、その中身の実態はともかくとして、表面的事実だけに着目するとかなりの人を驚かせることが可能だろう。 その事実をうまく活用できれば、大いなる宣伝効果が見込めるかもしれない。 成功すれば、中古等の影響よりも宣伝効果による販売数量の増加の方が圧倒すると予想できる。 そして、販売数量が伸びて、かつ、作品の評価も高ければ、次回作の販売数量もかなりの量が見込めるようなる。 そうなれば、ブランド再建は軽く達成できるだろう。

しかし、それは、それだけの人数に事実が伝わればの話である。 そのためには、大手メディアでの紹介、有名人による紹介、固定ファン以外の一般人の食いつきが重要になる。 しかし、アダルトブランドだけに、一般の新聞やTVニュースなどは食いついてこないだろう。 これも成功するかどうかは未知数である。 現時点で言えることは、大きく化ける可能性がないとは言えないが大コケする可能性も低くない…である。

大きく化けることができなかった場合は、ブランド再建は非常に難しくなる。 今回のようなことを継続的な措置とすることができないことは次に説明するとおりである。

業界にとって

今回は、後半、小額コースが急激に加速している。 集計してみると、その加速時期は2,500万円達成や3,000万円達成の時期と一致する。

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全て埋まった300万円コース、30万円コース、10万円コース、支援がほとんどない50万円コース、および、支援数0の200万円コースは加速がないことが明らかなのでグラフから外している。 直近1ヶ月平均比で見ると、 最も加速が著しいのはCF限定パッケージコース(9,800円)である。 次いで、デジタル3点セットコース(7,800円)、ハイレベルコース(2万円)=デジタル3点セット+氏名掲載、スーパーハイレベルコース(3万円)=ハイレベル+グッズが加速している。 グッズコース(1万円)と好きなヒロインからお礼ボイスコース(5万円)も僅かながら加速が認められる。 打ち上げ参加コース(8万円)と20万円コース(3種)とは加速は全く認められない。

CF限定パッケージコースは、加速時期から見て、純粋に支援することを目的としているのではなく、フルプライス分のゲーム等の対価として金銭を支払っていると考えられる。 つまり、内容が少ないゲームに9,800円は出せないが、フルプライス分なら9,800円出すということである。 名前掲載やグッズは、フルプライス分相当になったことで、売れる見込みが出たため、価値が大きくなったと判断される余地がある。 よって、これらも対価として金銭を支払っていると考えられる。 好きなヒロインからお礼ボイスコースの増加は、ヒロイン全員からお礼ボイスコース(10万円)のキャンセルや追加募集を狙っていた層が、最後に駆け込みで申し込んだのではないか。 9月1日の、キャンセル枠の抽選発表時は、下位のプランのキャンセルを受け付けるのは「今回の特別措置」としており、今後、キャンセル枠や追加募集があった時に同様の措置を約束していない。 上位プランへのアップグレードが可能と発表されたのも9月29日であり、ヒロイン全員からお礼ボイスコースを狙っていた層がギリギリまでキャンセルや追加募集を待っていた結果、諦めたか、あるいは、アップグレードの発表を受けて、好きなヒロインからお礼ボイスコースをキープしようと申し込んだのではないか。

以上、最後に加速したプランは、純粋に支援することを目的としておらず、対価として妥当になったと判断したか、キャンセルや追加募集をギリギリまで狙っていた層の駆け込みのいずれかであると考えられる。 でなければ、打ち上げ参加コース(8万円)、あなたの考えたキャラやアイテムが登場コース(20万円)、好きなシーンを一つ追加コース(50万円)の加速がないことを説明できない。 後者2つは高すぎるとしても、5万円の申込数を考慮すれば、それより少し高いだけの8万円のコースの加速がないことは説明しづらい。 ということは、2,500万円達成や3,000万円達成がなければ、「好きなヒロインからお礼ボイスコース」以外の加速は存在しなかったと言える。 以上を踏まえると、高額支援がない場合の最終予想額は次の通りとなる。

想定状況最終予想額
300万円コースの支援がない2,300万円弱
8万円以上のコース(声優お礼ボイスコースを除く)の支援がない1,500万円弱
5万円以上のコース(声優お礼ボイスコースを除く)の支援がない1,300万円強
8万円以上のコースの支援がない1,200万円弱
5万円以上のコースの支援がない600万円弱

先ほども説明したとおり、会社の存続の危機がアナウンスされていたために、自分の将来のための貯金を取り崩してまで支援した人がいた。 よって、そこまでする人がいなければ、目標額を達成できたかどうか怪しい。 もちろん、自分の将来のための貯金を取り崩して支援する人の貯金額には限りがあるから、何度も継続して支援することはできない。 今回は一人で688万円も支援する方がいたが、次回もそんな支援が集まるとは期待できないのである。 つまり、このやり方が通用するのは今回一回限りである。

まとめると、極めて特殊な状況下で、一回しか通用しない手法で、たまたま、目標額を達成しただけにすぎない。 だから、他のブランドが真似して同じことをしても成功は見込めないだろう。

クラウドファンディングという手段

クラウドファンディングという手段を批判する者もいる。 しかし、批判者は非現実的な精神論と理想論を語るだけで、誰一人として実現可能な具体的対案を挙げた者はいない。 改革を図ろうにも、先立つものがなければ、どうしようもないのだから、まず、今までと違う新しい資金調達方法を模索するのは妥当な考えだろう。 具体的に資金を集める方法を提示せずに、企業努力をしろ言うだけの精神論や、努力をすれば儲かるという理想論をいくら掲げても何の改革にもならない。 例えば、どれだけ作品の品質を上げても次回作の売り上げは急増しない。

でも美少女ゲームの売れ方って、ロングテール化しないんですよ。 発売日からの3日間、金・土・日で売れるだけ売ってしまうんです。 その3日が過ぎると、ソフトはほとんど売れなくなります。

平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状 - Business Journal

良作だったという評判が広まる頃には、もう、売れる時期を逸している。 次回作のさらに次回作の売り上げは増やせるかもしれないが、作品の品質を上げても次回作の売り上げにはつながらない。 作品の品質を上げるためには、それだけの労力が必要であり、その労力には費用がかかる。 経営の苦しい会社に対して、即回収が困難な部分に費用を投入しろと言うのは無理な相談である。 ましてや、何ヶ月も先に発売される次回作の売り上げにすら直結しないことに費用をかけるのは非常に困難である。

だから、次回作の売り上げを増える要因としては、宣伝と体験版と初回特典とパッケージの出来とブランドの評判くらいしかない。 宣伝はお金がかかる割に、かけたコストに比例して売り上げが伸びるわけではない。 体験版でゲームの良し悪しを判断するのは難しい。 初回特典もマニアックな人を呼び込むだけであり、通常盤から初回特典版への転換は確実に促すだろうけれど、本当に売り上げに貢献しているかは甚だ怪しい。 ゲーム全体の出来よりもパッケージの出来を優先していては自転車操業にしかならない。 ブランドの評判については、努力の成果が出るのは次回作の次回作からであり、次回作の販売までの間はどうしようもない。 よって、企業努力で次回作の売り上げ急増が見込めるものではない。 グッズ等の売り上げもほとんど足しにはならない。

未回収分をグッズの売り上げで補う考えもありますが、数千本しか売れなかったソフトより、低価格で売られるグッズの売り上げなんて微々たるものです。

平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状 - Business Journal

では、経費はどこまで削れるのか。 現状でも少ない社員の給料を削ることは難しいだろう。

ーーここまであまり良い話がなかったように思うのですが、業界の平均的な年収ってどのくらいなんでしょう?

nbkz 平均でいえば、300万円を割ってると思います。 400万円もらえているところは、ほとんどないんじゃないでしょうか。 年収300万円って、ボーナスなしで月給25万円ですよ。 現状でこれだけ出せるのは、ある程度以上売れているメーカーだと思います。

平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状 - Business Journal

現状もノベルゲーという手抜き手段を用いているのだから、製作コストには削れる所はないだろう。 むしろ、お金をかけて、ノベルゲーのシステムを大幅に進化されることの方が必要である。 しかし、次回作の売り上げ急増が見込める余地もないのに、そうするだけの開発費をつぎ込むことは不可能である。 製作費の細かい内訳を見ても、現状で削れる所は見当たらない。

まず年間の人件費が1,500万円。 音声、音楽、プログラム、背景を外注したとして外注費400万円。 宣伝用ムービーやらチラシ、ポスター、交通費の営業費で150万円。 地代・税金・光熱費・通信費など、会社の維持費が年間360万円。 ここまでで2,410万円です。 これに、プレス代、箱代などの変動制作費が加わり、社員への社会保障費などを加味すると、最終的に3,000万円は必要になるだろうと。

平均年収は300万円以下?! 衰退化が止まらない美少女ゲーム業界の現状 - Business Journal

外注費を削れば自社の人件費が増えるし、自社の人件費を増やせば外注費が増える。 宣伝をケチれば、その分、売り上げも減少しかねない。 会社の維持費も最低限必要なレベルでしかないので削りようがない。

結局の所、抜本改革を行って売り上げを伸ばし、伸ばした売り上げで品質向上に磨きをかけるというプラスのサイクルに乗ることができない限り、売り上げ急増も製作効率化も図りようがない。

以上を踏まえれば、実効的な資金調達は非常に限られていることが分かる。 よって、クラウドファンディングという手段自体は妥当であると言えよう。

開始時の想定

最初の告知は、そもそも、何を意図して行われたのだろうか。

でも私の力不足でそのバランスが取れていないところもあり、 要望が細分化していく中で、思うような売上が出ずに予算も減ってしまい、 昔の作品の方がよかったという声もいただくことが多くなりました。

しかし同じ作風を続けると、一度合わないと思ったユーザーの方からは、 今回も合わない、と思われてしまうため、ブランドとして継続していくためには 様々な試みが必要だと思っています。

そこが上手くいかず、ブランドとして売上が減少していき、 採算が取れなくなってしまった場合は商業的に活動を停止するしかありません。

あっぷりけの活動を停止しよう、正直そのように考えていたこともありました。

ですが沢山の方に「まだやれることはあるはずだからやろう」と支えていただきました。

また沢山のファンの方にここまで支えていただいてきました。

ファンの方に喜んでいただけるゲームを作るためにはどうしたら良いかずっと考えています。

明らかに予算が減ったと見えるようなゲームを作ってもがっかりされてしまいますし、 そこをそう見せないための工夫が制作に求められると言われればそうなのですが、 それはやはりここまでお世話になってきた制作スタッフにどうしてもしわ寄せがきてしまいます。

ゲームを作るのはお金もそうですが長い時間がかかります。

皆さん人気のクリエイターなのにそんな長い時間拘束をして無理してもらってまで、 作るべきかというところにも悩みが生まれていました。

開発費を抑えた新チームでの制作というのも検討しています。 ですがそれもあっぷりけのいつもの制作チームから新作が出ずに、それしか出ないというのも やはり一番大切なあっぷりけファンの皆様をがっかりさせてしまうのではと思いました。

そこで今回クラウドファンディングと言う形でファンの皆様と向き合い、 達成金額による作品ボリュームなども公開した上で、 企画・シナリオが桐月さん、キャラクターデザイン・原画がオダワラハコネさん、 BGMが鷹石しのぶさん、楽曲がエンジェルノートさん、で企画を提示して、 ゲーム制作させていただきたいと考えました。

ファンの皆様に喜んでいただけると思う企画を提案させていただきますので、 もしやってみたいと思っていただけたらぜひご支援いただけますと幸いです。

  • ファンに黙ってブランドを潰すのも申し訳ないので、ファンの意見を取り入れて再建策を検討したい
  • 再建策として大きな方針は決まっているので、ファンには黙って支援して欲しい

前者であるなら、あまりに拙速に進めすぎではないか。 もっと様々な意見に耳を傾け(言いなりになるという意味ではない)、盤石な計画を立てて進めるべきだったのではないか。 後者であるなら、「思うような売上が出ずに予算も減ってしまい」などという話をする必要もないし、その話をすべきでもない。 経営危機の話をすると、一般ユーザーは離れる一方で、逆に、ファンの中に無理して支援する人が出てきてしまう。 会社が一方的に方針を決めるなら、一部のファンだけに無理をかけることのないよう、配慮した計画を立てるべきだったのではないか。

基本設計

クラウドファンディングを実施するにあたって、どのような基本設計が望ましいか、それを理解しないまま募集を開始したのは失敗だろう。 また、後でノベルが支援者の層についても考慮しておく必要があろう。

1タイトルの販売本数を超える支援者数を得ることが困難であることは事前に容易に予想できる。 事実、最後の加速分を入れても実際の支援者数は千人強にすぎない。 だから、低額コースだけでは雀の涙にしかならないことも事前に予想できたはずである。 つまり、十分な支援額が集まるかどうかは、高額コースにどれだけ支援が集まるかで決まる。 言い換えると、高額コースだけで十分な支援額が集まるような設計をしなければならないのである。

では、十分な支援額とはどのくらいか。 ここで次のような前提を置く。

  • ノベルゲーを進化させるためのコストは費やさない
  • クラウドファンディングで1タイトル分のコストを全て賄う

もちろん、現状維持ではジリ貧だし、クラウドファンディングでコストを全て賄う必要があるかについても疑問はある。 しかし、まずは、この前提で考えてみる。 その場合、フルプライス相当分の開発費となる3千万円を集めることが最低ラインである。 そして、その次の作品もリリースし続けるなら、もっと必要である。 なぜなら、3千万円しか集まらなかった場合は、その次の作品で3千万円集めることはできないからである。 腐るほどお金を持っているセレブのボンボンが高額コースにポンと支援してくれたならいい。 しかし、実際には、無理して支援してくれる人もいるだろう。 そのような支援金が得られるのは、最初の1回限りである。 それを見越せば、最低でも4〜5千万円には届かなければ話にならない。 さらに、業界全体の問題を解決するなら、億近くに達しないと話にならない。

以上の話をまとめると次のようになる。

  • 低額コースだけでは雀の涙にしかならない
  • 自社再生だけでも最低4〜5千万円は必要

つまり、高額コースだけで4〜5千万円は集まるように設計されている必要ある。 都合よく全て埋まることも考えにくいので、高額コース総計で1億円くらいは必要だろう。 しかし、今回のあっぷりけのクラウドファンディングでは高額コースが全て埋まっても3,770万円にしかならない。 これでは初めから必要な資金を集めようがない。

支援者の層

自分の将来のための貯金を取り崩して支援する人がいた。 そうしたことは多少はあっても、今回は一人で688万円も貯金を取り崩す人がおり、これは想定以上の事態ではないか。 一般人の貯金を他のユーザーが毟り取る構造は健全ではないし、たった一作のためにそれをするのもおかしいだろう。

そうなった原因は次のようなことであろう。

  • 経営危機が事前に公表されたが、今回の目的が経営立て直しなのか新作制作なのか明確にされていない
  • 支援を広く浅く集めるコース設計になっていない
  • 性質が大きく違うリターンが混在していたため、設計に無理が生じている
    • 達成額によりリターンの価値が大きく変動するコース
    • リターンの価値が達成額にあまり影響されないコース
    • リターンよりも支援に重点が置かれたコース

前者2つは、「俺が出さなければ…」という動機に繋がりやすい。 また、リターンにゲームを含めたことが設計をややこしくしている。 詳細は後で述べるが、その結果、計画に無理が生じて、目標金額が高くなりすぎたのではないか。 目標金額が高くなりすぎたことと、一部の人に「俺が出さなければ…」という動機を生じさせたことが、自分の将来のための貯金を取り崩しに繋がったのだろうと推測される。

こうしたことを防ぐには、きちんと設計をしてから始めることが重要であろう。

目標金額設定

クラウドファンディングでは、必要なコストを全て支援金で賄う方式は少数派のようである。 一定の活動実績のある企業に限れば、ほとんどが、コストの一部を支援金で賄う方式のようである。 それに対して、今回のあっぷりけのクラウドファンディングでは、必要なコストを全て支援金で賄う設計のようである。 それが妥当であったかどうかを検討する。

一般販売を行わないことを前提とし、プレミア感を煽るのであれば、コストを全て支援金で賄う設計も間違いとは言い切れないだろう。 とはいえ、それでどれだけの支援を集めることができるかは未知数である。 というか、かなり上手にやらないと、必要な支援額を集めることは困難だろうと予想される。

今回のあっぷりけのクラウドファンディングでは、一般販売を行うことを想定しているので、コストを全て支援金で賄う必要はなかったのではないか。 一般販売を行うなら、次のように考えられる。

  • 一般販売売上額からコストを回収できるので、クラウドファンディングは赤字補填だけで済む
  • あらゆる状況を考慮しても、リターンにゲーム本体をつける妥当性がない
    • 開発プロジェクトでは開発対象物をリターンに含めないケースが多い
      • 例:Dies iraeアニメ化プロジェクトは、完成したアニメの視聴はリターンに含まれていない(高額コースの試写会等を除く)
    • 支援総額に大きく影響するのは高額コースであり、高額コースではゲームが含まれるか否かでリターンの価値に大きな差はない
    • 低額コースのリターンからゲームを外してその分だけ支援単価を減らしても、支援総額にはほとんど影響しない
    • むしろ、低額コースの最低支援単価が下がることで支援者数は増えるかもしれない
    • リターンに含まれるゲームが中古等に流れれば、「後日」の一般販売はあまり売れなくなる

高額コースにどれだけ支援が集まるかが支援総額を支配することを理解できていなかったのではないか。 理解できていれば、リターンにゲーム本体をつけずに、その分だけ低額コースの支援単価を下げられたのではないか。

コース構成

高額コースにどれだけ支援が集まるかが支援総額を支配することは繰り返し説明してきた。 そのうち、超高額コースを除けば、支援者は、リターンの内容が支援額に見合っているかを考えて支援を行うのだろう。 しかし、超高額コースに関しては、リターンの内容が支援額に見合っているとは言い難い。

例えば、好きなシーンを1つ追加にするのに50万円は妥当だろうか。 全攻略キャラに好きなシーンを1つずつ追加にするのに200万円は妥当だろうか。 まだ、無制限に望んだシーンを自由に追加できるなら、妥当な金額かもしれない。 しかし、「内容につきましてはディレクターとメールもしくはスカイプ等と打ち合わせして作品に合う形に調整させていただきます」と書いてある通り、ディレクターの判断で内容が調整されてしまうのである。 支援者に作家としての実力があるのなら、この機会を活かさずとも、好きなシーンのあるゲームは作れよう。 作家としての実力がないからこそリターンの価値があるであろう。 とすると、そのような支援者がディレクターの納得できる追加シーンを提案できるだろうか。 結局、大幅に調整されてしまって、支援者の希望はほとんど通らないのではないか。 そのために、50万円や200万円を支援できるだろうか。

例えば、「好きなキャラクターを指定していただいて、ファンディスクを制作」するのに、300万円は妥当だろうか。 「直接もしくはスカイプやメールで何度かお打ち合わせさせていただきます」と書いてあることから、内容についてもある程度希望は言えるようだ。 しかし、シーン追加コースと同様の理由で、ディレクターに大幅に調整されてしまって、支援者の希望はほとんど通らないのではないか。 そのために、300万円を支援できるだろうか。

以上を踏まえると、これらのコースは、レアなリターンを得るために支援金を払うのではなく、文字通り、支援することを目的として支援金を払うのではないか。 高額な支援をしてくれた人のために、せめてものお礼のため、他にないリターンを用意しているのではないか。 であれば、50万円のコースの次が200万円のコースになっているのはバランスが悪くないか。 このコース構成では「100万円くらいなら払えるけど200万円は無理」という人を悩ませてしまう。 80万円、100万円、150万円等の段階を踏んだコースを用意すべきだったのではないか。

名前掲載

これまで検討してきた内容は、計画が非常に拙速であり、様々な人の意見を聞いて設計を見直すべきであるという結論を導いてきた。 しかし、一点だけ、聞くべきではない意見を聞いてしまったこともある。

OPお名前コースはやっぱり納得いかないですねぇ・・・ ファンなら絶対に申し込まないし、 ファンでもない目立ちたがりが応募するのが目に見えてますし。

目立ちたいという目的だけで応募できるような金額設定ではないかなと思ってはいますが、 ゲーム制作に携わったスタッフだけのクレジットのOPも見たいというのもわかりますので、 現状ではWEBや店舗様に公開していただくOPはCFクレジット含めて、 ゲームではCFクレジット無し版を使用させていただいて、 ギャラリーモードではCFクレジット無し版、有版、両方を鑑賞できるようにしたいと思っています。

「納得いかない」は、目的に見合った最適の手段を無視した、個人的な感情論でしかない。 現実を見ない子供の考えを間に受けた結果、「ゲームではCFクレジット無し版を使用」という失敗を招きかねない誤った選択をしている。 高額支援者から見たリターンの魅力が減って、支援金が大幅に減少する恐れがある。 それは、次の意見からも明らかだろう。

以下はお気軽フォームの返信です。

名前コースについて、ゲームで使用されずおまけ扱いされるのであればリターンとしての価値を見いだせません。

もしも、この人が、高額コースを支援することを考えていたにもかかわらず、「ゲームで使用されずおまけ扱いされるのであればリターンとしての価値を見いだせません」を理由として支援を取りやめるなら、支援額はその分大きく減る。 「ゲームではCFクレジット無し版を使用」という選択をしなければ、もっと多額の支援が集まったかもしれない。 高額コースにどれだけ支援が集まるかが支援総額を支配することを正しく理解していれば、「ゲームではCFクレジット無し版を使用」という選択は有り得ないし、その理由もきちんと説明できたはずである。 これも、クラウドファンディングについての基本的な考えをまとめないまま、拙速な行動をとってしまった結果だろう。

ゲームの進化

先にも書いた通り、クラウドファンディングでは、1回分の資金が集まるだけだし、2回目以降に同じことは期待できない。 従来型のノベルゲーにしがみ付いているだけでは、一時凌ぎにしかならず、いずれ近いうちに会社が破綻する。 とくに、従来型ゲームの開発のためのギリギリの資金しか集まらないのでは、その次の作品さえ生み出すことはできない。 従来型のノベルゲーを超える新しいゲームにチャレンジしなければ、先がないことには変わりはない。

しかし、従来型のノベルゲーから脱却しようとすれば、開発コストは大幅に膨らむだろう。 その代わり、成功すれば、売り上げは急増し、莫大な利益を得ることができる。 とはいえ、赤字企業に対して、投入資金もなしに、成功するかどうか不明のチャレンジをやれと言うのは無理があろう。 だからこそ、クラウドファンディングを、新しいチャレンジをするための資金集めとして位置付けるべきだったのではないか。

Last modified:2017/10/18 02:12:49
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*1 非公開情報も含めればブランド再生のことを指しているようである。